トルクレンチ

ネジの締付は自転車いじりの基本です。ネジは、適切に締付られていないと緩んだり、また、締めすぎると破損したりと慣れていない人には結構難しいものがあります。そこでトルクレンチの登場となります。ネット上でもとくにカーボンパーツの締付などでは有効との記事も結構目にします。そこで 今回はトルクレンチの使い方についてまとめておこうと思います。しかしながらトルクレンチを過信するのも問題があります。特に、使用するトルクレンチの高トルク側では、設定トルク検知音を聞き逃すとオーバートルクによるネジの破損にも繋がりますので注意願います。

1.使用トルクレンジの確認
 幸いなことにシマノの取説には、指定トルクが記載されているので、これを参照。また、ステムなどでは直接記載されていることもある。また 単位は、通常 Nmだが、kgf・cmやlb・finの場合もあるので注意。換算はネット上でたくさんのサイトがあるのでgoogleてみればすぐできる。
  
2.誤差の考え方
 ①トルクレンチに限らず、計測、計量するもので一般的に言われることだが、目盛がついている範囲の上10%と下10%は誤差が大きいので使用しない。なぜなら、構造上の問題もあり、上10%と下10%ではメーカーが謳っている精度が出ていないためである。例えば10Nm~110Nmの範囲で目盛がついているトルクレンチの場合、20~100Nmの間で使用することになる。

 ②通常のトルクレンチは誤差4%程度である。この4%は、特に設定値の4%とか指示値の4%とかことわっていない限り、フルスケールの4%となる。例えば 先ほどの目盛が10Nm~110Nmの範囲で目盛がついているトルクレンチの場合で、30Nmに設定してして使用したとすると、30Nm±4Nm{=(110Nm-10Nm)×0.04}つまり 26Nm~34Nmの範囲のどこかで締付が行われることになる。よく、誤差4%言うと設定値の30Nmの4%つまり
30Nm±1.2Nmで締付が行われると勘違いしている方が多いので注意願う。

 ③トルクレンチはバネが使われているため使用していくと誤差が大きくなる。また、使用していなくても内部につめてあるグリースの劣化でも誤差は大きくなる。通常は1回/年の定期校正が必要となるが、私の場合は、趣味の世界での使用で、自己責任ということで校正はしていない。使っていて変だなと感じたら修理するつもりである。

2.トルクレンチの選定
①どのレンジのトルクレンチを揃えるか
  使用するトルクがレンジの中央になるように選定するのが理想であるが、そう都合よくはいかない。シマノの取説を眺めてみると、ステム、ブレーキ、ワイヤー、前後ディレーラー、シフター、フォローテック2用クランクのボルト、DURAのホイールのハブロックナットなどは概ね4~20Nmの範囲入る。また、ペダル、BB、スプロケのロックリングは、概ね35~70Nmの範囲に入る。よって市販されているトルクレンチのレンジ考慮すると、上記ふたつのレンジをカバーするものが必要である。ただし、残念ながら、誤差を考えると上記ふたつのレンジを1本でカバーするトルクレンチは存在しないので、2本購入することになる。

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          (見づらい時はクリックして拡大してください)

②ドライバータイプかレンチタイプか
 10Nm以下であればドライバータイプも使えるが、それ以上のトルクでは、レンチタイプのものの方が使いやすい。また、レンチタイプでも長さの長いものの方が小さい力でトルクをかけられるので、カムアウトしにくい。

③逆ネジ対応
 自転車いじりでは、BBとペダルなど逆ネジになっているところがあるので、基本的には逆ネジ対応品を選定したい。逆ネジ対応品はそのままの状態で逆ネジ対応しているものと、ヘッドのラチェット部に仕掛けがしてあり、ヘッドの方向を変えることで対応しているものと、ヘッド部が外れて、向きを変えるものなどがある。そのままの状態で逆ネジ対応しているものは、高価で、かつ逆ネジ方向は精度が悪いのが普通である。また、ヘッドの方向を変えるものは、使い終わった後は、元にもどすのを忘れると、次に使用するときにうっかり指定方向と逆に力をかけてしまいトルクレンチを破損させることになるので、必ず元にもどす。

④使用する六角のビットとソケット選定時の注意
六角穴のボルトを締めるためのビットが必要となるが、自転車に使用されている六角穴のボルトの穴は浅いのでビットを購入する時は先端の面取りが少ないものを購入する。面取りが大きいとカムアウトしやすい。同様に、自転車で使用されているナットは厚さが薄いものが多いので、ソケットも面取りが少ないものを選定する。また、ネット上でも、ビットやソケットの面取り部をグラインダーで削り落として使用している例も紹介されている。

3.力のかけ方
①トルクレンチの回転円に水平に
 自転車いじりでは、不安定な状況でトルクレンチを使用せざるをえない。力のかけ方はトルクレンチの回転円と水平にかつ接線方向に力をかける。回転円に対して曲がって力をかけると設定トルクの検知音が鳴らずにオーバートルクになり、ネジを破損させることもあるので、ご注意を。

②一気に所望のトルクを掛けずに段階を踏んで
また、所望のトルクにいきなり設定して、トルクを掛けるのではなく、手前から2~3段にわけて、最後に所望のトルクになるようにする。例えば、12Nmのトルクで締め付ける場合、最初は8Nm設定で締め、次に10Nm、最後に所望の12Nmで締める。

4.その他注意事項
①使用後は必ず設定を最小値に戻す
  もとに戻さないと誤差が大きくなる
②指定の回転方向以外で回すと壊れる
③緩める時は使用しない
④保管
 トルクレンチは調整用の工具と勘違いしやすいが、あくまでもトルクを計測するものである。ということで保管は専用のケースに入れ、温度、湿度の影響の少ない場所で保管すべきである。いい加減に保管すると誤差が大きくなる。

5.豆知識
①ペダルやホイールのロックナット等二面スパナしか使えないところでトルクレンチを使う方法
 ASAHI TOOLSが販売しているクロウフットレンチが使える
 このレンチを使うと作用点がずれるので、設定値に補正を加える。
 (補正の方法は「i-tools殿のサイトのトルクレンチを使いこなす」を参照)

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②逆ネジ対応でないトルクレンチで逆ネジ対応にする方法
 (すべてのトルクレンチでできるわけではない)
 (1)正ネジ対応状態

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 (2)ネジ2本外す

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 (3)裏返しにして蓋をとった状態

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 (4)真ん中のラチェット部を外す。(バネに注意)

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 (5)ラチェットを反対向きに取り付ける

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 (6)蓋を戻し、ネジをつけると完成

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  回転方向に注意。使用後は正ネジ用に戻す


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